ラッパ光る

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トランペット吹きが楽器や音楽について発信していくために開設。何かのお役に立てますように。

ヤマハ・ウォーターキーバネの違い

こんばんは、ムトウです。

 

最近は楽器のパーツ交換などの改造をちまちま行っております。ヤマハのパーツは国産で質が良く、値段も比較的安いので、改造初心者にとって非常に助かります。

 

今回はそこからのフィードバックとして、ウォーターキーのバネについて書いていきます。

 

息はマウスパイプから入ると主管クルークで曲がり、ケーシングおよびピストンに入っていきます。この途中で息はウォーターキーを通過していきます。このウォーターキーの台座周辺は半田で接合されていたり、ウォーターキーがバネによって固定されていることで、強いテンションがかかっています。

 

このバネによるテンションの違いは大きく、吹奏感や音色に影響を与えます。

 

ヤマハのウォーターキーバネには二種類あり、ゼノシリーズ(以下新型)などに使われているバネと、それ以外(以下旧型)に使われてるバネがあります。

 

大まかな見分け方としては、新型はV字に広がったバネの片方がカールしており、旧型はカールしていません。ヤマハのホームページで楽器の拡大画像を見てみると分かります。

 

↓新型のバネです。

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旧型は抵抗感は少なく、軽い吹き心地となります。音色はどちらかと言えば軽く、スタッカートなど発音の軽快さがあります。スチューデントモデル等にも使われていることから、扱いやすいバネと言えます。

 

新型の方は抵抗感が増し、音が引き締まる感じがします。ピアノ等の音量のコントロールもしやすく、上位モデルに求められる幅広い表現力やダイナミクスレンジを満たすものだと思います。

 

私は新型のバネを取り付けており、こちらの方が私の求めている吹奏感を満たしていると感じました。これは人によると思います。

 

またヤマハのパーツは大半に互換性があり、ゼノのものをスチューデントモデルに、またその逆も付け替えることが可能です(ボトムキャップなども)。

 

ウォーターキーバネやピストンバネなどは安価で手に入るので、ぜひお試しあれ!

自分と楽器、どっちが悪い?

あけましておめでとうございます、ムトウです。

 

2017年12月31日でブログを書き始めてから丸一年が経っておりました。これからも楽器や音楽に関することを中心に、好き勝手に書いていこうと思います。

 

今回は調子、特に楽器本体のメンテナンス状態について書いていきます。

 

皆さんはトランペットを演奏していて、「今日(最近)は調子が悪いなあ」と思うことがありますか?

 

何故調子が悪いのか。例えば息のコントロールが出来ていない、唇が荒れてしまっている、体調が悪いなど、奏法的な部分で理由が分かっていれば解決方法も自ずと見えてくるものがあります。

 

しかし、前に挙げたような奏法・身体的要因をクリアしてもなお、調子が悪いという経験を私はしてきました。私の場合、そういう時は大体楽器の状態に難がありました。

 

個人的に、主管が悪い状態になっていると、吹奏感が悪い方向に進んでしまうケースが多いです。

 

主管はマウスピース、マウスパイプを経て、息がケーシングに向かって曲がる場所です。ここにはウォーターキーの半田接合、またバネとネジのテンション、管の気密など吹奏感の大半を決めており、ここの状態で吹奏感が大きく変わります。

 

グリス、バネ、コルク、ネジの状態、この四つは特に普段から気を付けておくべきと私は考えます。グリスが落ちれば気密の状態が変わるので、当然吹奏感が変わります。バネやコルクの消耗があれば、ウォーターキーのテンションが変わるので、ツボが変化してしまいます。ネジが緩めば、同じくウォーターキーから主管にかかるのテンションが変化します。

 

常に一定の状態というのは不可能ですが、なるべくニュートラルな状態にしておくのが理想だと思います。グリスは定期的に塗り直し(ジッポオイルで落としてから塗ると理想)、コルクやバネが消耗したら交換する、長く使ううちに管がすり減ってきたらリペアに調整をしてもらうなど、処置を行っていけると良いでしょう。

 

次によくあるのは、ピストンパーツの消耗です。

 

これは最近あったことなのですが、少し吹奏感が変わったなと感じた時、ピストンを出してみると、中のフェルトが大分消耗していました。フェルトがオイルや水を吸って変色したり、ペッタンコになってしまった経験ありませんか?

 

丁度手元にフェルトのストックがあったので交換すると、息がダイレクトに音に変わる感覚、程よい抵抗感が戻ってきました。これはフェルトが薄くなってしまうことで、ピストンとケーシングの音孔がずれてしまい、息の流れが滞ることで起こります。

 

他にもトップキャップのフェルトやゴム、スプリングの消耗による音孔のずれ、音響的な問題などが起きないように、パーツが悪くなったらなるべく早めに交換することをおすすめします。

 

個人的に、バックのトランペットは楽器の状態が少し崩れると吹奏感が大きく変わる印象があります。恐らくですが、バックという楽器は絶妙なバランスで成り立っており、少しの変化で大きくバランスが崩れてしまうのでしょう。経験として、ウォーターキーのネジが少し緩むか締まるかだけで、吹奏感が変わります。

 

ヤマハは多少状態が悪くても、大きな変化はありません。ヤマハは全体の精度が高く、少し変化したくらいでは全体に大きなバランスの崩れがないのでしょう。もちろん全体が狂えば吹奏感も大きく変わるので、なるべく良い状態を保つのがベストです。

 

今回は楽器の状と自身の調子(吹奏感)に関して書きました。これを機に、楽器の状態も一つのステータスとして、自身の調子を見極めてみるのはいかでしょうか。

アジア産の楽器についての私見 ~安く良いものを手に入れるために~

こんにちは、ムトウです。

 

今日はアジア産の楽器について書いていきたいと思います。

 

最近日本に限らず世界中にアジア産の楽器が増えてきてます。

 

名をよく見かけるメーカーだと、ブラスパイア・キャロルブラス・マルカートなどでしょうか。バックもTRシリーズなどはアジアでパーツを生産しており、昨今楽器の供給にアジアは欠かせなくなってきています。

 

「でも、中国や台湾の楽器ってどうなの?安いと造りが甘そう、音も良くなさそう……」

 

このような感想や思いを持つ方は少なからずいらっしゃると思います、私も以前まではそうでした。

 

実際のところ、少し前までは粗悪な楽器が多く、現在でも中には……な楽器もありますが、近年になって技術が向上したのか、マネジメントに力を入れるようになったのかは定かではありませんが、アジア産の楽器の品質は全体的に向上しています。

 

実際に私は台湾製のクイーンブラス(キャロルブラス)のゾロという楽器をお借りして吹いており、こちらは値段と比較して大変質が高く、ビッグバンドなどジャズの演奏には欠かせないものとなっています。

 

またAxisという中国産のコルネットを受注生産で購入し、試奏をさせてもらった際にそのクオリティに驚きました。値段は10万を切っています。

 

ですが、実際にアジア産の楽器を使用して思うところもありました。

 

基本的な造りに関しては申し分ないのですが、アジア産の楽器はスライドの気密が甘めな傾向があります。グリスを塗っても少し動きが緩いのです。これでは抵抗感に影響が出てしまい、場合によっては音がすっぽ抜けてしまう原因になり、更に緩くなるとスライドが脱落してしまう恐れもあります。

 

この場合はリペアにお願いをして、スライドの気密を調整して頂くことが必要になります。この緩さは偶然なのか、それとも国の流行なのかは定かではありません。もしかしたらアジア圏の奏者たちはスライドを緩めにしていることが多いのかもしれません。

 

実際にこのスライド周りの調整をすることで、楽器の質は格段に向上します。元から造りは良いものなので、この最後の甘さで損をしてしまうのは大変もったいないです。ここをクリアしたら、日本や欧米の楽器に負けないくらいのポテンシャルを引き出すことが出来ます。

 

また、中国に関しては同じ工場の生産ラインによってランクがつけられており、ランクの低いラインはどちらかと言えば造りの甘い楽器になる傾向がありますが、ランクの高いラインはハイエンドモデルに劣らないクオリティを叩き出しています。(私の購入したコルネットはこのラインで作られています)

 

なによりアジア産の楽器の魅力は値段の安さにあると思います。安く、かつ品質が良い物を手に入れるために、私たちの知識と見極めが大事になってきますね。

 

近々コルネットの紹介もしていこうと思います。

 

今回はここまで。

私が使用しているマウスピース【パーク・ハグストロムモデル】

お久しぶりです、ムトウです。

 

今回は、現在私が使用しているマウスピースについて書いていきたいと思います。

 

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写真右側のものが、私が現在使用しているマウスピースです。

 

パーク(PARKE)というメーカーの、ジョン・ハグストロムモデル。

 

メーカーから頂いた回答によると、リム内径はバックの7Eより少し小さいくらい。カップ容量は1B相当、スロートは26、バックボアはシンフォニックとのことです。

 

以前まで私はバックの1-1/2Cや、ヤマハ中川モデルの16B4NCなど、比較的大きめなものを使用していたのですが、これらを使用して私が辿り着いた結論は、「大きい内径のマウスピースは私の口には合わない」ということでした。

 

では、内径が小さいマウスピースにしてしまおう、と簡単にはいかないのがマウスピースの難しいところです。

 

一般的な形をしたマウスピースは、内径が小さくなるとカップの容量も同時に減ってしまうため、人によっては音量を出した時に割れてしまったり、裏返ってしまうことがあります。

 

また内径を小さくし過ぎてしまうと、所謂痩せた音や、ジャズなどに使う音に近付いてしまうため、クラシックのジャンルで使うには不向きと言えます。

 

このハグストロムモデルは、それを解消しようと作られたもので、外形はバックと同じですが、カップの内部が非常に特徴的になっています。

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少し分かりにくいかもしれませんが、リムの内側がカップに食い込む形になっています。エグリが極端に大きくなったような形と言えば分かりやすいでしょうか。

 

つまり、内径は小さいけれどもカップは大きいので、小さい口径のマウスピースでも音が痩せず、クラシックに向いた音色がだせる、という構造になっています。

 

何故このようなマウスピースが生まれたのか。このシグネチャーモデルの名前にもなっている、ジョン・ハグストロム氏(シカゴ交響楽団2nd奏者)は、大きいマウスピースを使うことこそ、優れたオーケストラサウンドを得るために必要だと教わり、それに倣っていました。

 

しかし、大学卒業間近になって、リサイタルの最後までスタミナが持たないという問題を抱えていました。そこで小さい内径の物で演奏をすると、本番を余力を残してやり切ることが出来ましたが、満足のいく音色にはならなかったのです。

 

そこでハグストロム氏は、スタミナと耐久性を維持しつつ豊かなサウンドを得る方法はないかを模索したのです。

 

結果、このハグストロムモデルは生まれました。

 

ハグストロム氏本人も「このマウスピースのおかげで私は、耐久力や柔軟性を犠牲にすることなく、世界で最も大きな音を出すプレーヤーたちと一緒に演奏することができている」と述懐しています。

 

私はこのマウスピースが、今までの人生で一番自分に合ったマウスピースだと思っています。私の悩みとハグストロム氏の悩みが合致していたのです。

 

コントロールに容易く、このサイズとは思えない程にふくよかな音色で、ソロからオーケストラ、吹奏楽まで対応出来るマウスピースであることでしょう。

 

ちなみに、海外限定ではありますがヤマハからもジョン・ハグストロムモデルが発売されており、最近ちらほらと日本に入ってきているのを見かけます。

 

実際に試奏した印象としては、パークのものが明るく抜けのよいものだとしたら、ヤマハのものは身の詰まったダークな音色といった感じです。

 

マウスピースのサイズと音色のバランスで悩む方がいたら、試してみると発見があるかもしれません。

 

今回はこれにて。

超個人的、バルブオイル使用感レビュー&紹介(2017/9/27版)

お久しぶりです、ムトウです。

 

前回の投稿から大分間が空いてしまいました。今回は以前に書いたバルブオイルの使用感の追記と、使用したことはないけれども知識として知っているものの紹介をしていきたいと思います。

 

過去の記事はこちらです。 

 

hikaru-tpiano.hatenablog.com

 

 

それでは参りましょう、まずはこちらのオイルです。

 

 

 

見た目通りのブルージュースですね(飲めません笑)。

 

こちらを以前紹介させて頂いた時には軽めの粘度と紹介しましたが、実は逆で粘度はかなり高めのオイルだそうです(失礼致しました)。

 

サビ防止の成分が入っており、ビンテージの楽器にも使用可能です……というのもやはり粘度が高めだから出来ることですね。

 

粘度の割にバルブワークは軽めなので、そこが一つ魅力のオイルでしょうか。澄んだ音色になり、マイク乗りが良いので、ポップス奏者などに向くオイルの一つでしょう。

 

続いてはこちらです。

 

 

アルキャスのバルブオイルです。使用されている方もなかなか多い印象です。

 

軽めの粘度で不純物が少ない純石油系のオイルになります。ケーシング内部にゴミが溜まりにくいため、リペアマンなどにも好んで使用されるオイルの一つです。

 

かなりさらさらしたオイルで、吹奏感も軽く、音にスピード感が出やすいです。シルキーなどと相性が良いオイルでしょう。

 

 

続いてはこちら。

アリシンのオイルです。こちらはあのNASAが開発したというから驚きですね。

 

一滴~数滴の使用で長時間のバルブワークを維持するなど、かなり粘度の高いオイルのようです(筆者未使用)。スライドにも使用出来るようで、一番、三番管の摩耗具合によってはこちらを試してみるのも良いかもしれません。

 

続いてはこちらです。

 

カップミュートやコルネットのマウスピースでお馴染み、デニスウィックのオイルです。

 

こちらのオイルはフライパンなどの耐熱加工に用いられるテフロンが含まれており、油膜をケーシング内で構成するオイルです。いわゆるベアリング的な働きに近いものでしょうか。

 

そのためバルブワークが他の石油系のオイルなどに比べるとかなり滑らかになります。引っ掛かることは少なくなるでしょう。反面テフロンからくるゴミが溜まりやすいため、掃除の頻度が多くなるかもしれません。使用の際はご注意を。

 

続いてはこちらです。

 

Ultra-Pure プロフェッショナル バルブオイル

Ultra-Pure プロフェッショナル バルブオイル

 

 

ウルトラピュアのバルブオイルです。

 

無毒、無臭であり、石油系特有の臭いが苦手な方はこちらのオイルを使用するのがおすすめです。

 

バルブワークは軽く、音色も比較的落ち着いているので、アンサンブルに向くオイルかもしれません。ややゴミが溜まりやすい印象があり、掃除の際には注意が必要です。

 

今回のご紹介は以上になります。今回と前回の記事を合わせて、日本で市販されている大半のバルブオイルを紹介したことになるでしょうか。今回はスタンダードなものから外れ、ややニッチな商品の紹介になりましたね。

 

バルブオイルも楽器やマウスピースと同じで正解がないものです。楽器の状態、自分がどのような吹奏感が欲しいのか、よく吟味しながら選んでいくと良いでしょう。

 

この記事を見て頂いたことで、楽器に対して一考して頂く機会になれば幸いです。

 

今回はこれにて。