ラッパ光る

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トランペット吹きが楽器や音楽について発信していくために開設。何かのお役に立てますように。

オーダーメイドマウスピースの紹介【ハグストロムモデルベース、マウントバーノンバックボア】

こんにちは、ムトウです。

 

新しい現場での仕事が始まり早くも三か月が過ぎましたが、楽器も忘れずに吹き続けていますよ!

 

さて、この度私はとある御方にマウスピースの製作を依頼しておりました。

 

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トランペット奏者であれば、この亀マークに見覚えのある方も多いかと思われます。皆さんご存知、静岡県浜松町にアトリエを構える、亀山氏にマウスピースを製作して頂きました。

 

私は以前、このブログでPARKEというメーカーのジョン・ハグストロムモデルをご紹介させて頂きました。

hikaru-tpiano.hatenablog.com

 

今回はそのハグストロムモデルをベースに改良を加えたものを製作して頂きました。

 

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以前の記事でも紹介したように、ハグストロムモデルはカップが特徴的な形状をしており、リムから内側にえぐりが入り、リムとカップがそれぞれ独立しているような形になっています。

 

つまり、内径は小さくてもカップの容量を多くすることで、コンパクトな状態で大容量のマウスピースの音色へ近づけるという意図があるわけです。

 

今回、製作にあたって依頼したマウスピースのスペックはこんな感じです。

 

リム形状・内径:ハグストロムモデルコピー

カップ:1CB相当

スロート:27~26の間で調整

バックボア:マウントバーノンバックボア

 

リムと内径については、オリジナルのままがベストだと判断し、そのままにしてあります。内径はBachの7より少し小さいくらいです。リムはフラット寄りですが、アウターエッジが丸目になっています。

 

カップは今回の肝の一つです。オリジナルのハグストロムモデルもとても良いのですが、ややカップ容量が大きい(1B相当)ので、音の輪郭はどうしても丸くなりやすいのです。

 

私はもう少しシャープな輪郭を目指していたので、まずはこのカップ容量を僅かに減らす(=カップを浅くする)ことで、これを解消しようと試みました。

 

 スロートはオリジナルが26なので、今回製作にあたって全体のバランスを変えることになるので、完全にお任せしています。正確な大きさは私も知りません(笑)

 

感覚で言うと26よりは少し狭いので、27と予想されます。

 

そして今回もう一つの肝、バックボアです。

 

オリジナルはシンフォニックバックボア(いわゆる24番)で、これもまた広がりのある良い音がします。同時に、ソロなどで求められる細かいパッセージに対する歯切れの良さを僅かに犠牲にしてしまっています。

 

製作したマウスピースのコンセプトとしては、ソロに焦点を当てたマウスピースだったので、バックボアの選定は非常に悩みました。

 

ノーマルバックボアだとコンパクトにはなりますが、音の広がりはやや劣ります。シュミットだとオーケストラに完全に寄ってしまいますので、これもまた違う……

 

悩んだ時にたどり着いたのはティルツというメーカーのマウスピース。これはマウントバーノン時代のバックマウスピースを参考に作成されているようです。何度か試したことがあり、その度にバックボアから楽器への音抜けがとても気持ちよいと感じていました。

 

同時期にとある筋から、マウントバーノン時代のバックボアは、シンフォニックバックボアのような広がりを持ちつつ、ダークな音色とコンパクトさを兼ね備えていると聞き、今回このマウントバーノンバックボアを採用することに決めました。

 

完成したマウスピースの感想としましては、非常に良いものが出来上がったと言えます。

 

オリジナルよりも広がるような感覚はやや薄れましたが、芯のある音色と歯切れの良い吹奏感を実現することが出来ました。

 

マウントバーノンバックボアは今までに馴染みのない吹奏感です。簡単に説明するとするならば、マウスピースの手前の方ではしっかり抵抗が作られるのですが、バックボアを抜けると一気に楽器へ息が流れ込みます。シンフォニックに比べて手前側が狭く、奥に行くにつれて広がっていく形状になっているようです。

 

カップの容量も減らしたことでやや埋もれがちだった音色も明るくなり、吹奏楽等で使ってもしっかりとした存在感を発揮することが出来る仕様になったと言えるでしょう。

 

C管にもマッチし、トマジなども自然な状態で演奏することが出来ます。C管全般的に、バックボアがオープンなマウスピースの方が合うように感じています。

 

いかがでしたでしょうか。マウスピースのオーダーは自分に何が合っているのか、何を求めているのかを明確にしないとなかなか踏み込むことが出来ない世界だと考えています。

 

同時に、自分の奏法やクセに対しても目を向けることにつながりますので、成長する機会としては大いに役立つものだと思います。

 

また今回書かせて頂いたマウントバーノンバックボアについては情報も少ないので、私の主観ではありますが、何かの参考になれば幸いです。

 

今回はこれにて!